十分杯を研究する長岡大学の權五景(グォンオーギョン)先生と吉乃川株式会社社員で歴史愛好家の横本昌之さんが初めてコラボレーションしたトークイベント。
十分杯とは切っても切れない日本酒との縁や、十分杯からみえてくる長岡らしさを語りました。
8分目を超えて注いだ瞬間、底の穴から情け容赦なく一気に流れ出てしまう「十分杯・十分盃(じゅうぶんはい)」。盃の中の水圧が気圧を上回ると重力のバランスが崩れる灯油ポンプなどにも利用される「サイホンの原理」によるものです。この物理マジックについては今も研究が進んでいるそう。300余年の時間を遡り長岡藩に由来する摩訶不思議なからくり酒器です。
「足るを知る、満つれば欠く」の精神を伝える十分杯ですが、戊辰戦争からの復興を願って松から梅が芽吹くモチーフの十分杯が作られるなど、独自の文化として根付いてきました。長岡では学校や会社の節目のときに記念品として配られる風習があったそう。
(十分杯の断面図に見るサイホンの構造 出典:な!ナガオカ)
(權先生と十分杯 出典:な!ナガオカ)
長岡大学経済経営学部の權先生は、地域間格差が研究テーマ。地域活性化に欠かせない”ブランド”を探す中で十分杯に出会いゼミの学生たちと一緒に十分杯の普及活動に取り組んでいます。
權先生が十分杯の歴史、なぜ十分杯が誕生したのか考察を語ってくださいました。
【関連ページ】“欲張らず、足るを知る”長岡の歴史とマインドを伝えるからくり酒器「十分杯」
実演する場面も。十分杯の切れのよさに驚き!
続いて吉乃川株式会社社員 横本昌之さんが日本の農耕文化と信仰の観点からの日本酒や、日本酒でなければ根付かなかった十分杯の「足るを知る」の精神、歴史愛好家が注目する粋な遊び心を熱く話します。
横本さんの人柄もあってか目をキラキラさせながら耳を傾けるみなさんの様子が印象的でした。
興味深いキーワードがたくさんあって、時間が足りない感じでしたが、続きはまたの機会にじっくり聞いてみたいですね。
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TEXT:犬丸あき
PHOTO:PEOPLE ISLAND