ピカピカの快晴に恵まれた10月13日、長岡市ではすっかり秋の風物詩となったHAKKO trip が開催されました。
回を重ねるごとにじわじわと風味を増している「発酵」イベント、6回目となった今年は長岡農業高校もイベント会場に加わり、イーストを使った「発酵」実験やお味噌汁作りなど参加型プログラムも盛りだくさんとなりました。
スピンオフイベントとして好評の「あったか横丁」も同時開催され、会場の宮内摂田屋は家族連れ、お友達同士、近所の子ども達など、様々な世代の来場者でにぎわいました。
当日の様子をご紹介します。
HAKKOtripは、摂田屋の玄関口である宮内駅からメイン会場となる摂田屋まで広いエリアで行われました。各会場の様子をご紹介します。
昨年から始まった長岡造形大学の学生さんによるマスキングテープアートに加え、宮内駅でのプログラムも開催されました。
「長岡市日本酒で乾杯を推進する条例」の10周年特別企画 お酒のふるまいを楽しむみなさん。
宮内駅前ではJR東日本宮内駅・JR東日本新潟シティクリエイトさんによるコーナーも。
子ども駅長制服で記念撮影やSuicaのペンギングッズ等の販売はお子さんに人気。
宮内駅を通る地酒王国・新潟が誇るお酒を楽しむリゾート列車「越乃Shu*Kura」に手を振る一コマもありました。
宮内駅からメイン会場までは徒歩10分ほど。駅から会場へ繋がる宮内商店街ではシャッターに長岡造形大学の学生さんが制作したマスキングテープアートが来場者の気分を盛り上げます。いよいよHAKKO tripの始まりです。
今年はシャッターアートの前に椅子を並べる試みも。
宮内駅からほど近い秋山孝ポスター美術館長岡からはJAZZの演奏が聞こえていました。大正時代に建設された吹き抜けの館内(旧北越銀行、登録有形文化財)に心地良い音色が深く響きます。演奏はColorless Spiritsのみなさん。
ハレの日タカダヤではスピンオフイベントで好評のあったか横丁を出張開催!
「越のむらさき」付近の旧三国街道沿いではマスキングテープのワークショップや江口だんご、わびすけの手打ち蕎麦、大漁寿司の精進寿司が並びました。
タイムスリップしたような雰囲気のある石畳の小道を歩くと、辺りを漂うお醤油のいい香りに気が付きます。
長岡造形大学の学生さんとマスキングテープを使って壁に絵を描くワークショップ。大きなキャンバスにカラフルな夢が広がるようです。
江口だんごさんからは新米のみたらしだんごなどが提供されました。
わびすけさんは大鍋で茹でた手打ち蕎麦を提供。
地元で人気の大漁寿司さんは精進寿司を販売。
吉乃川の場内ではHAKKO trip限定の発酵コラボメニューやクラフトビールなど、おいしい飲食ブースがずらりと並び大盛況でした。
一方、隣接する酒ミュージアム醸蔵ではJAZZの演奏や実験プログラム、トークイベントで盛り上がりました。
(中越酵母工業×長岡工業高等専門学校「発酵」ミニ実験、発酵トーク「十分杯」から長岡らしさを探るの詳細は別記事をご参照ください。)
薪窯を載せたキッチンカーWAYSさんの焼き立てピザ。「カラダにやさしい、おいしいを。」をテーマに北海道産全粒粉生地に採れたて野菜を使った保存料不使用のフレッシュなピザが魅力です。
炭火料理ゆめどり亭さん 備長炭で香ばしくジューシーな焼き鳥を。味噌を使ったメニューもありました。
発酵大国中国の郷土料理local china bar Hao Gui 好鬼さん。
麺処いずも屋さんの生姜醤油ラーメンは「越のむらさき再仕込み醤油」やたまり醤油、煮干しなどを入れた塩味の角が立たないマイルドなスープが特徴。越後味噌を使った担々麺も。
おうちパン教室さんは塩麹ラタトゥイユパンなど、国産小麦100%で油を使わない手ごねの無添加パンが今年も大人気でした。
ケセラセラさんこだわりのブレンド豆をハンドドリップで。コーヒーに合う玉子サンドも用意してくださいました。
HEISEI BREWING(株式会社ホクショク、酒屋平成堂)さんでは地元長岡でつくられたクラフトビールが提供されました。
長岡クラフトビールフェスティバル実行委員会厳選の全国のクラフトビールも人気です。
吉乃川さんの「摂田屋クラフト」。副原料に米麹を使ってビール同様に造ったクラフトビールです。吉乃川グループ会社中越酵母工業の新鮮な酵母と日本酒と同じ軟水「天下甘露泉」を使用したすっきりとした味わい。キリッと苦味のあるペールエールとフルーティなヴァイツェンが並びました。
今年は醤油の原料を使った重さ当てゲームが登場。醤油が大豆と小麦の麹と塩でできているって大人も意外と知らないかも。
FREAK FLEEKのプレイエリアでは子供も大人も楽しんでいました。
チャーム作り体験では「みっそん」のアクリルが登場!スタートしてすぐになくなる人気ぶりでした。
木工体験を提供する「KZ3creat」では、木製の顔出しパネルを作ってくれました!
レーザーで彫られた模様は温かみを出すのに苦労したそう。
吉乃川酒ミュージアム「醸蔵」内
醸蔵でしか飲めない特別なお酒や人気の飲み比べセット等を愉しめる「SAKEバー」
2階のセミナールームまで迫る圧巻のJAZZ演奏を披露した長岡ジャズキッズ。
発酵パネルディスカッションでは吉乃川 川上麻衣さん、ミライ発酵本舗 斎藤篤さんをゲストにBUKUBUKUのイタリアンおつまみと日本酒のペアリングや、日本酒のプロセスのお話などを楽しみました。
旧機那サフラン酒本舗の敷地内。摂田屋のシンボルになっている鏝絵蔵(こてえぐら)の周りには発酵フードやハンドメイドのお店が集結。こちらも大勢の来場者で賑わいました。
国の登録有形文化財である鏝絵蔵(こてえぐら)の壁画を修復する様子も見えました。
摂田屋6番街発酵ミュージアム・米蔵ではかつてのまちの姿を次世代に伝える「思い出マップ」と子どもたちが夢を描く「未来キャンバス」がお披露目されました。
※地図製作のプロジェクトはこちらから(な!ナガオカ)
「思い出マップ」から「未来キャンバス」へ。世代を超えた「地図づくり」のバトンで描く、地域再生のかたち
思い出マップと未来キャンバスを背にJAZZを演奏するのはMasumi Yamamotoさんと片野大輔さん。
屋外は特別な発酵フードやハンドメイド作品を求める人で大盛況でした。
SUZU365では味噌を使ってコクを出した発酵和牛カレーや摂田屋からあげ、摂田屋カヌレ、サフランコーラを提供しました。
株式会社朔の炙り牛タン、牛タン弁当、燻製ビーフカレー、牛肉の塩煮込み、ホットサンド、キムチなどついついお酒のすすむメニューもいっぱい。
とちお農園株式会社さんはWINE FARM TOCHIワインとおつまみを。
3ヶ月しか食べられない店kitchenわだのさんの醸す丼!
ぽんしゅ館の日本酒飲み比べなどお酒も充実。
他にもみんなのハム&Bake.Aさんの生ハムおにぎり、生ハムのオープンサンド、焼き菓子、
TOSI by ROJOのオープンサンド、発酵ドリンクが並び、米蔵内では6SUBIの握りたておむすび、お弁当、お味噌汁、ドリンクも楽しめました。
マクラメ編みアクセサリーを中心に制作、イベント出店しているJYUMIJYUさん
le bonheurさんはリネンやヴィンテージビーズ、糸を使ったハンドメイドアクセサリーを販売していました。
hana-rucaではプリザーブドグリーンのカップツリーやプリザーブドフラワー、ドライフラワー、布小物作品、フェルト作品の販売、ワークショップも用意してくださいました。
原田甚助農園さんは稲とライ麦を使った商品を販売。農園で育てる作物を活用してしめ縄や箒、鍋敷などの生活用品や小ぶりのアクセサリー類を作っているそうです。
DJ IBさんの発酵をイメージした心地良い音楽が会場に流れます。
長岡大学 生島ゼミのワークショップは子供たちにも好評。機那サフラン酒本舗の鏝絵をモチーフにしたプラバンのストラップやしおりなど、オリジナルグッズ作りに夢中でした。
少し歩くと星野本店と長谷川酒造の「星長」エリアがあります。
宮内中学校吹奏楽部の演奏や星野本店の特別なお味噌の販売、おやつショップdabo、スプーンフルコーヒーロースターのコーヒー、猪俣英語教室のキッチンカーが並びました。
午前に行われた宮内中学校の吹奏楽の音色が青空に気持ちよく響いていました。
江戸時代後期から続くお味噌・お醤油・糀の醸造蔵である星野本店さんは特別仕込み味噌を限定販売。
「新潟県産大豆を使って昨年7月に仕込み熟成させました。麹の割合が高く甘みが強いのが特徴で、シンプルにお味噌汁で味わってほしい」とおっしゃっていました。
今年オープンしたおからと豆乳を使ったやさしい味わいのドーナツが人気のおやつショップdaboさん。この日は発酵食品を使った特別なドーナツを販売。
左は星野本店の塩糀を使ったグレーズが特徴で、甘さと塩気がクセになります。右は同じく星野本店の神楽南蛮味噌と大葉を使ったもの。ほどよい辛味とチーズがマッチしておつまみにもぴったり。
他にお味噌をドーナツのソースに使用したキャラメル味噌ナッツもありました。
スプーンフルコーヒーロースターさんは「Qグレーダー」の資格を持つ焙煎士がドリップしたスペシャリティコーヒーを。
「発酵」イベントにあわせてコスタリカの豆を72時間タンクに入れ嫌気性発酵させた「アナエロビック精製方法」の風味を活かすように焙煎したそうです。ワインやパイナップルのような風味が特徴のカップです。
普段はオンラインでコーヒー豆を販売しています。
猪俣英語教室のキッチンカーでは発酵バーガーを提供。麹とスパイスで作ったカレールーに豚肉のパティ、サツマイモと発酵バター、手作りマヨネーズを組み合わせた一品です。長岡市で英語教室を運営しながらキッチンカーで体に優しくお腹いっぱいに食べられるメニューを提供しています。
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星野本店三階の蔵ではアルトリオンさんのJAZZの演奏も開催されました。
手間ひまを惜しまない酒造りをする長谷川酒造さん。素敵なお庭を眺めながら貴重なお酒を楽しめる会場ではご友人、ご家族とゆっくりお酒とおつまみを味わいながら談笑するみなさんの姿が印象的でした。
酒粕を使ったスイーツやHAKKOtrip限定商品、蔵元グッズの販売もありました。
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味噌星六と道を挟んで向かいの仕出し屋のかどやのエリア。
星六さんでは味噌盛りチャレンジやしょうゆ赤飯販売、オーガニック食品販売、八百屋の青果販売、割烹かどやさんのお惣菜販売がありました。
星六のこだわり味噌を盛れるだけ盛るという人気企画が再び登場。味噌盛りチャレンジは今回も大盛り上がりでした。
星六さんでは醤油赤飯の販売も。
地元の割烹かどやさんのお惣菜も並びました。中でも魚のお惣菜が美味しくておすすめだそう。
野菜販売も人が絶えませんでした。
当日は摂田屋着物ウォークの同時開催もあってか着物姿で歩く人々の姿もありました。
今年は行政と民間企業に加えて、学生さんとのコラボ活動が印象的でした。発酵フードやお酒の飲食だけではなく、発酵そのものを体験するイベントが多かったのも特徴の一つでしょう。そのおかげか昨年よりもさらに多くの来場者で賑わっていました。つながって、まざってじわじわとおいしく育っていく「発酵」のまち。来年はどのような風味が広がっているでしょうか?
TEXT:犬丸あき
PHOTO:PEOPLE ISLAND