おむすびと汁と茶 6SUBI

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味噌星六

味噌・醤油・酒の蔵元が集まる摂田屋は、発酵のまちを象徴するエリア。歴史的建造物も多いノスタルジックな街並みに醸造の香りが漂います。
2020年にオープンした発酵ミュージアム・米蔵(旧機那サフラン酒本舗)の中にある「おむすびと汁と茶6SUBI」は、摂田屋の定番スポットの一つ。摂田屋の味噌や醤油を味わえます。

この春、まち歩きにぴったりな新メニュー「摂田屋クランブルアイス」が登場しました。
味噌星六の熟成味噌を使った「醸造のまちのキャラメルナッツ」と良寛牛乳のバニラアイスの絶妙な組み合わせ。

メニューを開発した鈴木さんにお話を伺いました。
味の要であるキャラメルナッツは、味噌星六の3年熟成味噌を使用。県内でも珍しい熟成味噌は、口に残る濃厚な深い味わいが特徴。それを表現しながら味噌とは相反する意外性のあるお菓子というジャンルに組み合わせたそう。バターや飴のコクに負けない味わいを出ています。

鈴木さんは、摂田屋にお店を出す前に摂田屋を調べる中で星六味噌に出会います。はじめに開発した瓶詰め商品の熟成味噌のバーニャカウダソースは、通常アンチョビを使うところを、塩蔵・熟成という共通点から熟成味噌に置き換える発想から生まれました。おむすびに塗ったり、野菜のディップにしてメニュー化。「特徴を自分なりに咀嚼して、素材を組み合わせることでオリジナリティも出るし、本来のよさも伝えられる。それによって本家の商品にお客さんが向いてくれたら経済も循環する。」と鈴木さん。

3年熟成味噌は、色の違いがはっきりわかるほど深い茶色。その製造のこだわりを星六の中村さんに伺いました。「星六の味噌は大量生産できない味噌。大豆の旨みを引き出す為に煮ないで蒸したり、木桶を使った仕込みや、多くを手作業で行ったりと、昔ながらの作り方を大切にしています。」

味噌星六は、社長の星野さんが無農薬無添加の昔ながらの自然な味噌を世の中に伝えたいと始まりましたが、中でもこだわりみそが一番手間暇かけて作っている味噌なのだそう。
仕込みに使う木桶も修理しながら使っていたり、昔の人だったらこうやっているかなというのを手作業でしているので、味噌の仕込み以外のメンテナンスにも時間をかけています。社長の在り方が味噌作りに現れていると中村さんは考えているそう。「不便もありますが、時代に合わせつつも古き良き大切なことは残していきたいですね。」と話してくれました。

「摂田屋クランブルアイス」に使用するキャラメルナッツは、甘さと味噌が同調するバランスを探って試作を重ねたそう。味噌をキャラメルにするのは難しく、分量の配合や火加減を工夫し、キャラメルを二段階にコーティングする方法にたどり着きました。「そこまで手間をかけていると知って嬉しい。ただ美味しいものなら味噌じゃない方が簡単にできるのに、選んでもらっていることに地元への想いを感じる。」と中村さん。味のバランスが絶妙でパクパク食べられると普段からキャラメルナッツがお気に入りなのだとか。

一方鈴木さんは地元にいい食材があるからイメージも膨らむそう。「今の人は濃い色の味噌を味噌汁に使うには抵抗があるかもしれない。でもその良さを知ってもらうきっかけとしてお菓子で出会ってもらえたら嬉しい。世界でここでしか食べられないものを提供することで土地の価値も高まると思う。長岡、中越エリアの食材は特徴があるし、それがちゃんと地元で食べられていて営みになっているから面白い。飲食店としても使って食べる仕掛けを作ることで文化として繋いでいきたい。」と話します。

摂田屋に6SUBIができてから嬉しい変化も。おにぎりを食べたお客さんが星六のお店に味噌を買いに訪れるようになりました。こういう流れができるのが一番嬉しい、と鈴木さん。

ここにしかない味噌を作る星六と新たな一面を引き出す飲食店。お互いにリスペクトし合う関係は「人と人をむすび、地域をむすぶ。」というお店のコンセプトの通り。

これから暖かい季節、摂田屋クランブルアイスを手に街歩きをする人が増えそうですね。

お店・蔵のご案内

おむすびと汁と茶 6SUBI
長岡市摂田屋4-7 摂田屋6番街発酵ミュージアム・米蔵内
0258-868-545

10:00〜17:00(LO 16:30) 
定休日 火曜日、水曜日

味噌星六
長岡市摂田屋4-5-11
0258-32-6206

定休日:日曜
過去の取材記事
昔ながらの味噌造りに挑む“元エンジニア”——味噌星六の「発酵哲学」とは?
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